備前焼の弱点
土そのものの素朴な質感や、ひとつひとつ違う表情が魅力の備前焼。
1000℃以上の高温で焼き締める為、まるで釉薬をかけたかの様な風合いや
奇跡の様な素晴らしい「焼け」が出る事もある、他に類を見ないやきものです。
とはいえ、釉薬をかけていない為デメリットがあるのもまた事実。
今日は使い続けていくうちに陥りがちな、備前焼の弱点を少しお話します。
特に、コーヒー・紅茶類又は油ものによく使う器は、
土そのものに、油分や水分が入り込む為長く使っているうちに土の表面の
細かな凸凹に入り込んでとれなくなってしまう事があります。
カップの内側に黒い汚れの様なものがついているの、お分かりでしょうか?
これは決して洗う前ではなく、洗った後なのです。
表面の凸凹にコーヒーの水分が入り込んでしまい、洗剤などでゴシゴシとしても
全く落ちない状態になっています。
こうなると、なかなかもとの状態に戻すのは難しくなります。
しかし、少しの事でこういった状態はある程度防ぐ事は出来ます。
それは「使う前に水につけておく」事。出来れば20~30分くらいをおすすめします。
こうする事で、表面に膜の様なものが出来、油分・水分が入りにくくなるのです。
ぐい呑や徳利などは、お酒の力などで逆に艶が出て良い事もあるのですが、
色の濃いものや油モノは、器に残ってて気分の良いものではありませんよね・・。
なので、「使う前には水につける(或いは水にくぐらせる)」を、
是非とも習慣にして頂けたらな、と思います^^
何を隠そう、お恥ずかしながら上のコーヒーカップは私が窯で使っているもの・・。
今では毎回、白湯を一回注いでから淹れる様にしています。
備前焼は、使う方それぞれに違う味が出てくる面白いやきものだと思います。
汚れがしみ込んでしまっても、欠けてしまっても
尚、愛着が増す様なそんな器であれたら、幸せですねえ・・。